松下のひとりごと

鈴木 茂 あっぱれ!

Booster Amp / B-1

 1974年、私がヤマハ渋谷店のリペアマンとして働き始めた頃、アンプの担当者と回路図を見ながら熱く話し合っているミュージシャンがいました。
その人が 鈴木 茂氏でした。
誰もがご存知、元「はっぴーえんど」のギタリストであり、超一流のスタジオミュージシャンであり、彼の隠れた側面がエンジニアです。当時、既にサーモンピンクのストラトキャスターにMXRのダイナコンプが埋め込まれていて、スタジオやライブワークに使われていました。(誰もが、おそらく今日まで知らなかったことでしょう。)それは、リー・リトナーがまだオレンジ・スクイーザーを使っていない時代でした。又、デラックスリバーブの電解コンデンサーやトランスを変え、音色をアレンジしていました。その後にポール・リベラも同じような改造をし始めていました。これらはおそらく、ミュージシャンとしての必要から生まれたもので、その時代の最先端を歩いていた三者ともそうであったのでしょう。その彼(鈴木茂氏)が数十年の年月をかけて作り上げたエフェクターが、Booster Amp B-1です。多くのエフェクターは、あるポジションでは使えるが、それ以外のポジションでは全く使えないことが当たり前です。しかし、このB-1は違います。ミュージシャンの必要から生まれたものだけあって、全てのつまみにれっきとした意味があり、必要だからこそ、レイアウトに無理があっても付けられているのです。およそ、10セット程のピックアップを交換したに等しい程、1本のギターで多彩なトーンキャラクターが得られ、しかもそれは大げさではなく、ギターの本質を壊さない実用的な範囲に収められています。このあたりは、ミュージシャンでしか決められない領域です。エフェクターを使わない人にもギターアンプの手前に使うだけで、アンプが変わったかのようにも感じられ、「ストラトでジャズはできない。」と思っていた私も、このB-1で180度考えが変わりました。たとえば、ストラトのフロントピックアップで、LRスイッチをR(リズム)にし、ギター側のトーンを8~7位にすると、甘く優しいメロウなトーンになり、リバーブを2~3入れれば、これ程の音は他のエフェクターでは決して得られないもので、真空管アンプにも似た音になります。厳選されたパーツを使い、中には在庫されていることが不思議な程、レアーなパーツも使われています。日本だけでなく、世界に通用するエフェクターだと断言できます。 
鈴木 茂 あっぱれ!
余計な話ですが、“Booster Amp B-1” のBoosterの文字はいらないと思います。この文字が付くことで違ったイメージに見られるのではないかと思うのです。“グショグショに歪ませて使うもの”“足りないパワーを得るためのもの”等・・・、回路上、書かずにいられないことはわかるのですが・・・。



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